2007年01月31日
仙人湯 水平歩道(仙人池 裏剣その3)
これが仙人湯である。手前のビールと比較してほしいが、家庭のバスタブと同じくらいの大きさで、もちろん同時には一人しか入れない、水溜りのようなお風呂である。
お湯は、深い緑色と灰色の中間のような色で濁っている。
また、衣服の着脱は、風呂の手前の板の上でするのだが、囲いも何にもないので、女性には入りにくいかもしれない。
そんな温泉だが、山の中で何日もお風呂に入らない生活をしているし、日中登ったりして汗をかいてもそのままでなので、温泉に入れるのは極楽へ来たように感じる。
仙人湯から欅平(から宇奈月温泉へ)へは、まず仙人湯から阿曽原温泉までくだり、阿曽原温泉から欅平までは、黒部峡谷沿いに「日電歩道」と呼ばれる道をゆく。
「日電歩道」は「水平歩道」ともいい、ほとんど水平で、アップダウンがない道だ。アップダウンがないということで、歩るのは楽である。
が、写真で見るように、切り立ったがけに「コ」の字型に岩をうがって作った道で、道幅も60~70センチほどしかない。そこで足を踏み外すと、数百メートル下の黒部川にまっさかさまに落ちてしまう、とてもスリル満点の道だ。
この道は、もともとは登山者のためではなく、黒部ダムを作るための資材を運ぶために、戦前に作られた道なのである。
戦前には、大町から入る黒部アルペンルートがまだ開発されていなかったので、黒部川沿いに資材を運んだのである。
たぶん、資材を運んだ人夫で足を踏み外し荷物もろとも谷へ落ちた人もたくさんいたのだろう。
そのあたりの話は、宇奈月温泉にある資料館に詳しく展示してある。
この道を下ると、欅平に着くのだが、欅平へ着く直前のしじみ坂で、一気に高度を下げる。
その後は、黒部峡谷鉄道で1時間40分かけて宇奈月温泉に到着する。
黒部ダム、または立山から欅平(宇奈月温泉)にいたるコースは、かなり厳しいルートなのだが、NHKなどで放送されてからは、その美しさにあこがれて来る人が増えたようで、途中の阿曽原温泉小屋は、シーズンには定員の倍くらいの人が訪れ大変な混雑となる。